2010年7月8日木曜日

明かりを楽しむ


わが国の「明かり」の文化は「行灯」「燭台」に始まり、
部屋の隅には明かりの届かない影ができて、光と同様に影も大切な存在だった。

それがいつしか、ランプや電灯ができて、明かりが天井に移り、
ついには蛍光灯となって、日中夜降り注ぐ「光り」のシャワーとなった。

自然があり、太陽が刻一刻と変化し、四季折々の季節が生活の中に溶け込んでいる、
そんな恵まれた環境にありながら、翳りが伴ってこその「明かり」を忘れたかのように
「明かり」を楽しむココロは、どこに行ってしまったのだろう。

ヨーロッパでは夕暮れ時、窓辺にキャンドルを灯すという習慣があるらしい。

手間のかかる事を、あえてしようとする人がいる。
人はそれを不便とか、不自由と呼ぶこともある。
しかし、そのヒト手間が、人の手を介して行った「人手間」の行為が、
ココロの豊かさを作り出しているのだと思う。

キャンドル・・・と言わないまでも、その場所にフサワシイ「明かり」を選び、
置いてみる、楽しんでみる、そんな暮らしを思い出したい。


(中央区 M邸)